メイドさん

メイドさんはとても面白い存在である。

「メイド」という言葉が意味するのは、僕の中では以下のようなことだ。

①.家政婦さんやお手伝いさんといった、本来の意味のメイド。
②.1とはまた別のものとしてアキバにて、コスプレ要素を重視してできたエプロンドレスのウエイトレスがいる「メイド喫茶」と、そこから派生したその他のメイド関連店のメイドさん
③.1や2からさらに抽象化され、おもに少女性を感じる想像的キャラとして一般化した「メイドさん」。(想像的キャラとしての「女子高生」が実際の「女子高生」とはもはや違うような。)

③のことを経て、②は発展し現在のアキバのメイドさん像があると思える。


「ナースコス」や「婦警コス」といった職業コスはコスプレ以上ではなく、メイド関連店のメイドさんはそれ自体が本来の①のような「メイド」とは独立した「何か」であり、もはやコスプレではないというように思える。
②のメイド喫茶の初期段階ではいまだ「コスプレをしたウエイトレスさん」という風に見えていたと思う。
現在ではメイド喫茶に行ってメイドさんを見たとき、僕たちは「メイドコスをしたウエイトレスさん」という風には感じず、単に「メイドさん」だと思う。
ということは今、メイドさんが職業として一般化したのだろうか。
そうではなくその一般化とは③なのだというように思える。

メイド喫茶の初期段階に、メイド喫茶メイドさんとは違ったリアルなメイドの物語「エマ」が高い評価と人気を得ていた。当時「エマ」を受けて、「メイド喫茶のメイドは正統ではない」というような議論があったように記憶する。
今は、リアルなメイド(家政婦さん的な)とアキバのメイドさんを比較するような議論はほとんどなくなったように思える。

しかし、こういったこともある。
新しいメイドさんより、ベテランのメイドさんの方がより「メイドさん」だと感じる。
あるいは、メイドさんによって「メイドさん度合い」が違うように感じる。

これは、「メイドさん」というキャラが宿っているかいないかということ、つまりメイドさんとしての「キャラ立ちの度合い」なのだというように思う。
メイドさんのキャラ立ち(もはや「メイドさん」以外には見えないこと)は、前述のように幾重にも重なったメイドさんイメージの歴史がある中、とても難しいように思えるが、意外とすんなりメイドさんとしてキャラ立ちしてしまう、「生まれたときからメイドさん」的人物もいるように感じます。

メイドさんは面白い存在である。